急な欠員にも慌てない医療機関運営──医療従事者の人手不足を乗り切る即戦力確保術
- 医療現場の人手不足・欠員対策
- 2025年7月11日
放射線技師や検査技師などの欠員が急発生することで、医療機関の業務負荷は一気に増大する。
本記事では、医療従事者の人手不足が常態化するなか、突発的な欠員や繁忙期に対応するための“即戦力確保”の方法について解説。シフトの組み直しや派遣サービスの活用、スピード採用のノウハウ、人材紹介のメリットなど、現場目線で実践的な対策を紹介する。
医療現場を揺るがす“急な欠員”というリスク
医療従事者の不足は、全国の医療機関に共通する深刻な課題となっています。
中でも放射線技師や臨床検査技師といった技師職においては、急な欠員が発生することで業務が一気に停滞し、患者対応の質や診療スケジュールに大きな影響を及ぼすケースが後を絶ちません。
厚生労働省「医療提供体制における人材需給の見通し(2023年)」によれば、2030年までに検査技師の需給ギャップは全国平均で1割を超えるとされています。
加えて、産休・育休・突発的な退職などにより発生する欠員は、想定以上に頻度が高く、組織としての“備え”がなければ現場崩壊につながりかねません。
人手不足が常態化している現在、「人が辞めてから対応する」という受け身の体制では、ますます厳しい状況に陥ってしまうのです。
現場でよくある“応急対応”の限界
実際に欠員が発生した際、多くの医療機関では次のような対応が取られています。
- ・他部署からの応援を頼む
- ・残ったスタッフにシフトを詰めてもらう
- ・夜勤・早朝対応を一時的に強化する
- ・外部の非常勤やアルバイトに声をかける
- ・急ぎの求人広告を出して面接を進める
しかし、これらはいずれも一時的なものであり、継続的に対応できる体制とは言えません。
むしろ、既存スタッフの疲弊を招き、連鎖的な離職や士気の低下を引き起こすリスクがあります。
ある中規模病院では、検査技師2名が短期間で退職したことにより、夜勤体制を維持できず、内視鏡検査の一部受け入れ停止という判断を迫られたという事例もあります。
このような事態は、患者からの信頼を損なうだけでなく、他の職種にも悪影響を与えるため、早急な構造改革が求められます。
外部人材サービスの活用が“即戦力”をつなぐ
こうした状況を打開する有効な手段のひとつが、医療従事者に特化した人材紹介・派遣サービスの活用です。
特に、ジャパン・メディカル・ブランチ(JMB)のような医療職専門のネットワークを持つ企業と提携することで、以下のような対応が可能になります。
- ・短期的な欠員の補填
- ・育休・産休の代替スタッフの確保
- ・応募が集まりにくい地方や夜勤専従枠への対応
- ・急増する検査件数への一時的な人材増強
これらのサービスは、通常の求人広告やハローワークでは到達できない層にリーチできるため、スピード感と的確性の両立が図れます。
特に、「明日からでも来てほしい」という状況に対応できる点は、慢性的な人手不足に悩む現場にとって極めて実務的な価値があります。
もちろん、費用が発生することは否めませんが、人件費以上に「業務を止めない価値」「スタッフの精神的安定」「患者の信頼維持」を考えれば、十分に費用対効果が見込める施策です。
欠員対応を“仕組み化”するための具体策
人手不足への対応を属人的なものにせず、組織として“仕組み化”しておくことが、今後の医療運営における安定性を大きく左右します。
以下は、そのために実施すべき具体的な取り組みです。
- ・各部署の「最低必要人員数」と「リスクライン(この人数を下回ると危険)」の定義
- ・定期的な人員リスク評価と人事データの更新
- ・人材紹介会社との事前契約および依頼フローの整備
- ・採用決裁の即時化(面接後3営業日以内の内定判断など)
- ・採用責任者(技師長、看護部長、事務長など)の明確化と権限付与
加えて、紹介予定派遣のような「トライアル雇用」の仕組みを活用することで、入職後のミスマッチによる早期退職を防ぎつつ、確実に即戦力を組織に取り込むことができます。
これは採用の効率化と定着率向上の両立に直結する施策です。
突発対応と組織改革を同時に進めましょう
欠員が発生してから動くのではなく、常に「次の欠員」を見越して動く体制を整えることが、組織としての安定につながります。
そして、突発的な人材流出に対応する力と同時に、そもそも人が辞めにくい組織文化の醸成も不可欠です。
以下のような施策を並行して実施することで、「採って終わり」ではなく「続けてもらう」仕組みが整います。
- ・定着率向上のための制度整備(評価、研修、柔軟勤務など)
- ・管理職へのマネジメント研修(傾聴力・対話力の強化)
- ・離職理由の記録・分析と改善サイクルの運用
- ・多職種間の業務シェア・クロストレーニングの推進
医療機関は「人が資産」である以上、人の流出を最小限に抑え、現場の崩壊を防ぐための構造改革に本気で取り組む必要があります。
突発対応力と組織文化の強化。この両輪を揃えることが、未来の医療現場の安定性を確かなものにする最短ルートです。
まとめ
医療現場の急な人手不足や突発的な欠員に対応するためには、派遣・紹介など即戦力人材の迅速な活用が鍵となります。
本記事では、現場対応の限界や人材サービスの活用ポイント、採用の仕組み化と組織的な備えについて、事例を交えながら実践的にまとめています。